年々、ロック、ポップスの楽曲はキーが高くなっています。
60年代歌謡曲と現在のポップスを比較すると、
この約50年の間で、最高音が約一オクターブ上がっています。
最近でいうと、男性バンドのクリープハイプなんて、
もはや女性の曲よりキーが高いです。
クリープハイプ – 憂、燦々
音楽の多様化により様々な音楽スタイルが生まれ、
それにより高い歌唱技術を要求される楽曲が増えてきたという事が言えます。
その中で一番必要とされているのが、高い声を出す技術です。
高い声を出す歌唱方法は2つあります
まず、高い声を出すという事は、声帯の振動数を上げるという事です。
その為には、二つの方法があります。
1:強い力と強い息を使って、思いっきり声を出す。
いわゆる叫びや、悲鳴と呼ばれるものです。
しかしこの発声はお勧めできません。
発声器官である声帯を傷つけることになりますし、
歌声としてコントロールするのもちょっと無理がでてしまいます。
(曲によっては「叫び」を効果的に取り入れているアーティストもいます)
2:声帯にテンションを加え、鼻腔共鳴により響かせる。
無理なく綺麗な高音の歌声を出す方法がこれです。
では、ポイントを一つずつ説明していきます。
高い声で歌う方法:声帯にテンションを加えるとは?
声帯は、伸び縮みすることで低い声や高い声を出す器官です。
粘膜と筋肉でできています。
息を吸う時には左右に開き、声門(声帯の間)を開けます。
発声時には声門を閉じ、息を声帯にぶつけて振動させます。
この振動数が上がると声は高くなり、
振動数が少ないと声が低くなるという仕組みです。
声帯で高い音を出すという事は、短かく早く振動させるということで
つまり喉や肩を力ませず、リラックスした状態で声帯に柔軟性を持たせ、
無駄のない呼気で声帯を振動させるということです。
高い声で歌う方法:鼻腔共鳴により響かせるとは?
声帯の上の空間を、共鳴腔と呼びます。
声は声帯だけで形成されるものではなく、
声帯から出る音を共鳴腔で共鳴させて声にします。
また、声帯模写と言われる「ものまね」も声帯ではなく、
共鳴腔を似せる事で声音をそっくりにする事が可能になっています。
この共鳴腔のスペースをコントロールする事で、
豊かな歌声を使い分ける事が可能になります。
また、共鳴腔で響かせることによって
息の量を多くする事なく音量を上げる事も出来ます。
高い歌声を出す練習法2つ
高い歌声の出し方②正攻法
- まず足を肩幅に開き、肩の力を抜きリラックスして立ちます。
- 腹式呼吸で、横隔膜を使って呼吸することを意識します。
- リップロールしながら声を出します(最初は無理なく出せる音から始めましょう)。
- リップロールのまま徐々に高い音にしていきます。
- 出したい高音のところで、リップロールと地声(もしくはミックスボイス)で交互に出してみる。
うまく希望の高さの高音まで出ましたか?
なかなか出ないと思います。
それは横隔膜の筋力と使い方(力の連動)の問題と、
肩や喉に力が入りすぎてしまうことが原因なのですが、
これは練習を繰り返して徐々にできるようになるしかありません。
高い歌声の出し方②力技
これは力技です。
とにかくキーの高い曲を、原曲キーのまま、
頑張って音を外さないように歌いきることです。
シャウトになっても絶叫になっても、
かすれて声にならない声になっても、
とにかく、優先順位は「音を外さないこと」です。
ですがこの方法はリスクがあります。
まず、のどを痛めないように、
喉がかれる手前でやめること。
そして、きっと絶叫やシャウトや獣のような声になると思うので
防音の整った場所でしか練習できないことです。
高い声を出すコツ2つ
①喉を使わずに声を出す
喉を使わずに声を出す、というとピンと来ないかもしれませんね。
言い換えると、
必要最低限の呼気で声帯を効果的に鳴らす、とも言います。
声のメカニズムは、声帯が声門を閉めてそこに呼気を当て振動させて声に変換する事です。
そこに大量の息を当てると閉まっている声門を開こうとしてしまう為、
力がこもった聞き苦しい声になってしまいます。
なので力でこじ開けるのではなく、効率よく声帯に呼気を当て、鼻腔に共鳴させることが
綺麗な高音を出すコツとなりますが、言葉ではなかなか難しいですね^^;
②腹から声を出す
私たちの身体は色々な動作が連動しています。
主に腹式呼吸の時に使われる筋肉は横隔膜、腹筋、背筋です。
これらの筋肉が歌うときに連動し、風船のような、
ポンプのような働きをして勢いよく声を出しています。
これが、腹から声を出すと言われる理由です。
このように体全体の筋肉を使うイメージを持つことで、
高い声をより楽に、より強く、より美しく出す事が可能になります。