地声で歌っていた曲がだんだん高い音になると、
声がひっくり返りそうになる。
そんなときでも裏声にならず強い声で歌い続けるには
ミックスボイスの技術が必要です。
ミックスボイスを地声から自然に発声する歌上達のコツをご紹介します。
歌上達のコツ「ミックスボイス」とは?
地声と裏声が切り替わる「換声点」と言われる部分をなくして、
スムーズにつながった声のことを「ミックスボイス」といいます。
ミックスボイスを上達させるためには、
低~中音域を歌うときから「ミックスボイス」を意識することがポイント。
ミックスボイスってつまり地声?それとも裏声?
結論から言ってしまうと、
地声と同じ部分、裏声と同じ部分があり、
地声に聴こえる裏声のことをミックスボイスと言います。
地声と裏声が混ざった発声というのが一番正しいでしょうか。
厳密にいうとその説明では違うのですが、
『裏声は裏声にしか聴こえないものだ』と思う人も多いでしょうし、
その人の感覚でそれがミックスボイスだったりそうでなかったり感じるかも。
実は地声だと思っていたアーティストの高音はほぼ全てミックスボイスであると言えます。
B’zの稲葉浩志の声はほぼミックスボイスですね。
たまに裏声も使っていますので、
違いを探してみるのも面白いかも。
「ミックスボイス」の間違った認識
「ミックスボイス」は、地声に裏声を混ぜてソフトに歌うという意味ではないです。
厳密にいうと違うのであって、感覚的には地声に裏声を混ぜるというのは間違いではありません。
ミックスボイスを正しく言うと、
声の高低にあわせて声帯の振動パターンをスムーズに変えることを指します。
「ミックスボイス」の声帯の振動パターンとは?
低~中音域を歌うとき、たとえ低い声を出す場合でも声帯を伸長させると、
裏声のような柔らかな声に変換することができます。
中~高音域へ声のキーが上がるにつれて、
喉が締まるような感覚になってきますよね?
地声の出し方で高音を出そうとしても、
それは「喉が締まった」発声になってしまいます。
曲の音程にあわせて、喉の奥の筋肉に力を入れずに、
喉と肩の力を抜いて、腹からの空気を鼻に抜けるように
発声することで、ミックスボイスの発生に自然に移ることができます。
ミックスボイスが上達してくると、
音色はそのままに無段階で音程を切り替えて行くことができます。
「ミックスボイス」の具体的な練習方法とは
ミックスボイスというのは、それ単体では歌を上手く歌うことはできません。
さまざまな場面にあわせてミックスボイスをアレンジし声に抑揚をつけることで効果を発揮する歌唱法です。
ミックスボイスを上手く活用するためには、
- 声帯の振動パターンは裏声のままで低音を出す練習
- 声が口からではなく鼻から抜けるように発声する練習(鼻腔共鳴)
以上の2つでできます。
1『声帯の振動パターンは裏声のままで低音を出す練習』
裏声発声時に声帯が半開きになってしまう人は
声帯の隙間から息が漏れてしまい薄い声になってしまいます。
地声と裏声の変化の瞬間を喚声点やブレイクポイントと呼びますが、
これを無くすためには地声、裏声を行き来しても喉、口の中の空間の形に変化が無いことが理想的です。
口の中の形が地声を出した時と同じ形で裏声を出すことによって音色が地声に似た力強い声になります。
この運動を実現するために行うことは、裏声のままで低音を出す練習をすることです!
2『鼻から抜けるように発声する練習(鼻腔共鳴)』
以上の練習だけでは声量不足になるので鼻の共鳴(鼻腔共鳴)をしっかり行う必要があります。
私達日本人は欧米人より、強い鼻腔共鳴が苦手です。
なぜ苦手なのかと言うと、それは日本語と英語の発音方法の違いにあります。
日本語は口先だけでも発音がしっかりでき相手にも伝わりますが、
英語は鼻から抜くような、鼻の奥に響かせるような発音があります。
英語の方が立体的な発音というか、鼻やノド全体を使うので
歌唱には適していると言えるかもしれませんね。
まあそんなわけで、共鳴を得るためのトレーニングが必要になってきます。
鼻腔共鳴が上手なボーカリストというと、
やはりB’zの稲葉浩志が代表的です。
「リップロール」と「タングトリル」というエクササイズもおすすめです。
この2つの方法については他のページで詳しく説明します。
「ミックスボイス」のについてまとめ
個性豊かなアーティストたちが歌うロックやポップスの楽曲では、
それぞれに求められる声質が異なるもの。
決して「正しく歌う方法」が確立されているわけではありません。
ただし、「発声のメカニズム」はしっかり確立されていて、
その理論は時代とともに進化を続けています。
ここで紹介した「ミックスボイス」もそうしたメカニズムの一つであり、
歌が上手な人は必ず身につけている技術です。